時代を変えたテクノロジー②

さて、時代を変えたトランジスタ。コレにより回路を構成する部品がどんどん小さくなります。現在では、もはや一桁のナノの単位です。この辺りから量子論的効果が無視できないはずなんですが、その辺はどうやって克服してるんですかね?トンネル効果とか。答えは強相関電子を使って電子を「重く」するそうです。マジか!?、、

電子が「重い」と言うのは、色々な邪魔を伝導電子にして伝導電子の振る舞いに制限をかけることで、電子を「重く」させるという、強相関電子系の物理をやった人にはウンザリする話題なのです。軌道電子と伝導電子が相関するってのはまだ理解できるとして、その伝導電子を挟んで近隣の原子核内の軌道電子同士が相互作用するって、マジRKKY。・・・

で、トランジスタ。前回述べたようにリレースイッチの置き換えとして低トラブルかつ高速かつ小型ということで、世界を席巻します。音もしないしね。

このトランジスタを使って何を作ったか?紆余曲折の末、電子式卓上計算機-電卓です。

計算機の歴史は意外と古く、そろばんはおいておくとしても、それ自体が演算の能力を持つデバイスとして有名なモノは、計算尺ではないでしょうか。コレは17世紀からあり、主に対数を計算するためにありました。私はなんとなくは使い方を教えてもらったのですが、ついに使いこなすことはありませんでした。同時期に歯車の組み合わせとして足し算を行う機械式計算機も開発されました。一度作られてると、あとは改良し続けるのがお決まりということで、日本では大正時代にタイガー計算器が開発され、その完成度の高さ、直感的な使い勝手などは、私も使っていて関心したものでした。ガチャガチャチンチン回すのも意外と楽しい。この機械式計算機を手じゃなくてモーターで回した、電気計算機なんてのもあるらしいです。アレくらい手で回せ。。。

そんな力技ではなく、ロジックで計算する方法もあります。いくつか書き方があるのですが、下図がわかりやすいかな。AとBがリレースイッチで、1を入力する、つまりONにすると→が反対になると思ってください。電源の反対の極は・・まぁ気にするな。


コレを半加算器といいます。この、AとBの両方が0になったときは繰上げも答えも0に、AとBがの片方が1になったときは答えが1に、AとBの両方が1になったときは繰上げが1になるだけなのですが、この繰り上げの1を読み取って2ビット目の計算に繋げられる計算機を全加算器といいます。コレをひたすら繰り返すことで、リレースイッチでも計算が出来るというわけです。

そう、トランジスタはココを置き換えて、電子式かつ卓上で使えるもの・・・電子式卓上計算機を実現するわけです。意外なことに、計算素子にトランジスタを使用した電卓を世界で一番最初に開発したのは日本のメーカーでした。まぁそれ以前にあった真空管の計算機をトランジスタに置き換えただけでしたが。これも、出来てしまえば改良改良&改良です。ゲルマニウムからシリコンになり、一つ一つの素子を基板に実装していたものが集積回路になり、集積回路もその集積度を上げていく・・・小型化と省電力化が年々繰り広げられました。そして、低廉化もね。それを電卓戦争といいます。それこそ最盛期は3桁のメーカーがあったそうですが、現在大手に電卓を作っているのはシャープとカシオのみ、、、某番組でも負け組は悲惨でしたからねぇみたいなコメントがあるくらい、まさしく戦争でした。

そんな電卓戦争の中で、2つほど現在につながる技術として有名なのは、演算回路と液晶です。コレはどちらも電卓のために開発された技術でした。

世界で最初の中央演算回路は、インテルによって開発された4004です。これはビジコンという会社の電卓のために開発されました。この中央演算回路の設計には

日本人、嶋正利

が加わっています。この中央演算回路は、いろいろな計算のロジックをイチイチ回路に落とし込むのではなく、簡単で汎用な命令のみをチップに組み込み、複雑で専用な命令は、簡単な命令の組み合わせとして実装すればいいという、いまのコンピューティングそのものでした。嶋さんはその後インテルへスカウトされ8080を、独立してザイログを設立し傑作プロセッサZ80を開発します。ホントもっと有名というか、社会の教科書に乗せるべき偉人なのですが、まだご存命のようなので歴史にしてしまってはいけないというトコロでしょうか。

また、液晶ディスプレイはシャープが強烈なコスパのカシオミニに競争するために、自らは光らないため電池の消耗が少ない映像装置として採用しました。液晶とは、、、物質の三態である固体液体気体の固体と液体の間にある存在で、微視的には結晶となっているが巨視的には液体というもので、ガラスに挟んで薄くすると、普段は光を透過させるが、電圧をかけると微視的な結晶の向きが揃い、光を通さなくなる(逆もある、また半分反射し半分透過するなんてのもある)性質があり、このシャッター性質をディスプレイに使用するというものです。ちなみに巨視的には固体だけど、微視的には結晶していないモノもそんざいします。アモルファスといいます。意外に身近なモノもアモルファスですよ。

その他にも、コアメモリから半導体メモリへ、配線基板から伝導性インクを使ったプリント基板へ、乾電池からボタン電池そして太陽電池へ、、、

電卓というのは、現代テクノロジの集合体なのです。昔は自動車よりも高かった電卓も、今は100均に売ってます。スゲェなぁ。。。

そんな電卓、私にも多少のこだわりがあって、持っている電卓はすべてカシオ! あと、「√」のついていない電卓は認めません。なんに使うんだっていう向きもありますが、コレは直角を出すのに使います。まぁ、ひとよひとよにひとみごろ、ひとなみにおごれや、ふじさんろくおーむなく、なにむしいない は、覚えてはいるんですがねぇ、まぁ電卓つかいますよね?大学院にいたころ学生実験のお手伝いのバイトをしていたときに、√の計算が必要だから、√のついた計算機を持ってきてと、前もって伝えてあったのに、持ってないからという理由で持ってこない学生が続出し、研究室の中にある電卓をかき集めて持って行ったのも良い(?)思い出。まぁ物理の研究室でしたから、流石にみんな√付きでした。てか、みんな関数電卓でしたねぇ。。持っていったあと、使い方もレクチャした記憶があります。

四則計算なんて、ガチャガチャチンチン回していればいいんですよ。あと会社で、人の電卓を勝手に持っていって、、使い方がわからん!なんでみんなが使える電卓を使っていないんだ!!っていう理不尽な怒りをブチまけられた事があります。「( )」が使えるから便利に関数電卓使っているだけなんですがねぇ、、あとメモリが多いのも嬉しいかも。2進10進16進の変換にも使います。/26って、第4オクテットどんなマスクだっけとか(192?)。てか、勝手に持っていくな。

電卓技能検定っていうのがまだあるんですが、コレってむかし表計算がなかった時代、正確に高速に電卓が使える指標として使われいたみたいです。この電卓検定、最上位は十段ではなく、その上に名人があるそうです。なんか試験で満点だと、満点名人と呼ばれるとか。急に威厳が下がってしまうネーミングですが、普通、十段って神に近い段位で、将棋でも生きてる人でコレを名乗れる人は一人しか居ません(中原誠永世十段)。そんな十段より上を作るとは、、しかも名人とかと段位は違うものだと思う、剣道初段の私でした。
(でも、将棋も十段は段位ではなくタイトルだったっけ)

さよーならー。

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